第1章:川面に浮かんでいたのは、一人の高齢男性だった
1988年(昭和63年)9月27日午前11時50分、枚方市上島の船橋川と淀川の合流点付近。
川を眺めていた通行人が、水面に浮かぶ一人の男性の遺体を発見し、通報しました。
遺体の発見場所は、岸からおよそ20メートルの水中。
近くに衣服や所持品はなく、全裸の状態で、明らかに死亡してから間もない様子だったといいます。
死亡推定時刻は、同日午前10時ごろ。約2時間も経たずに発見されたことから、当日の朝、川に入ったと見られます。
第2章:年齢・特徴──誰だったのか?
遺体は以下のように記録されました:
- 本籍・住所・氏名不詳
- 年齢:推定50~60歳
- 身長157cm
- やせ型、面長
- 白髪混じりの長髪
- 着衣・所持品一切なし(発見時は完全な全裸)
身元確認を行うため、歯型・指紋・DNA情報などが照合されたものと思われますが、警察は身元の特定に至らず、最終的に火葬・納骨されました。
第3章:「全裸の水死」──考えられる3つの可能性
服を脱ぎ、川に入った末の死亡という状況は、いくつかの推論を導きます。特に以下の3つの可能性が注目されます。
① 自死(入水自殺)
- 死を決意し、意図的に服を脱いで川へ
- 全裸での入水は「自らの生をすべて捨て去る」象徴行動
- ただし、自死者の多くは衣服を着たままという統計もあり、やや異例
② 事故(川遊び・入浴中に溺死)
- 酩酊状態や体調不良で川に入った末に溺れた可能性
- 炎天下や孤独状態での行動なら、異常行動もあり得る
- だが、服や荷物が見つかっていない点が疑問
③ 他殺・事件に巻き込まれた可能性
- 暴行・殺害後に衣服を除去し遺棄された可能性
- 身元不明者ゆえに事件性を見逃されたリスクも
- 発見が早く、他者の痕跡(争った形跡など)が乏しいため、捜査が打ち切られた可能性も
いずれにせよ、「全裸のまま水死体」として発見されたことは、極めて異常な状況であると言わざるを得ません。
第4章:服はどこに消えたのか?──“無”として処理される命
最も不自然なのは、衣類や所持品の一切が発見されていないことです。
通常、自死や事故で川に入る前には、どこかに服や荷物を残す傾向があります。
例えば:
- 岸辺の草むら
- 橋の欄干
- ロッカー・駅のコインロッカーなど
しかし今回のケースでは、そうした「足跡」がまったくなかったとされており、遺体のみが存在し、背景が完全に消えているという状態です。
これは、逆に誰かが意図的に遺体だけを“演出”した可能性すら示唆します。
つまり、「自然死として処理させるための仕組まれた死」も、可能性として排除できません。
第5章:記録に残されたのは“死亡日時”と“全裸”だけ
この男性は、名前も過去も社会的つながりも一切判明しないまま火葬されました。
唯一記録に残されたのは:
- 「全裸で川に浮いていた」
- 「年齢推定50〜60歳」
- 「面長・長髪・白髪混じり」
- 「9月27日、午前10時頃死亡と見られる」
この事実だけが、彼の「最後の姿」として行政に記録されたのです。
まとめ:川に消えた命、それでも“ここにいた”と記す
この男性は、どこから来て、なぜ全裸で川に入り、そして何を思って亡くなったのでしょうか。
それを知る術はもはやありません。
けれど、彼の死を「無関心」で通り過ぎることだけはしてはならない。
なぜなら、こうした名もなき死こそが、社会の“盲点”であり、“病巣”であり、“問い”を孕んでいるからです。



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